日本の伝統工芸に根差した「守破離」の精神――基本の型を守りつつ、新しい型を創出し、既存の型を超越してオリジナルへと進化し、型を脱する。この哲学に基づき、日本特有のインテリアファブリックを生み出しました。ウールのメリットを活かしながら、これまでインテリアにはほとんど使用されてこなかった木綿という自然素材を組み合わせ、合成繊維を使わずに特有の質感を創り出しています。この度発表する3種類の生地は、それぞれが個性を持ちながらも、先染めされた糸の効果的利用という共通点を持っています。木綿とウールの先染めによる微妙な色の濃淡が、生地に深みある陰影を与えました。また、木綿とウールの収縮率の違いにより、生地の表面には立体感が生まれています。
In Japanese traditional crafts, there’s a principle called ‘Shu-Ha-Ri,’ which involves creating new forms while staying true to basic styles, going beyond existing formats, and evolving into originality. Following this philosophy, we’ve crafted fabrics that embody the essence of Japanese tradition.
We utilize the advantages of wool while incorporating the seldom-used natural material of cotton in interior design to produce a distinctive texture without relying on synthetic fibers. Each of the three fabrics presented here possesses its own unique characteristics, yet they all benefit from the strategic use of pre-dyed yarn. The subtle color variations resulting from yarn-dyeing in both cotton and wool show the depth and shading to the fabrics. Additionally, the variance in shrinkage between cotton and wool contributes to a tactile, three-dimensional effect on the fabric’s surface.
SHIZUKU 雫
品 番 KO030101
色 6種
素 材 経糸:木綿、ウール 緯糸:木綿、ウール
混 率 木綿54% ウール46%
幅 140cm
組 織 変化平織
特 長
サンプル織りを重ねてきた各種類の生地の中で、スタンダード、中心に位置づけるイメージで臨んだもの。ウールによる表情を丸めにしたいと思い、木綿糸に支えられたウールがコロコロと、しかし、しっかり堅めに配置されるように織りました。
経糸の木綿を2色用いることで、無地のように見えながら、その濃淡が玉虫効果を創り出します。
MIGIWA 汀
品 番 KO030102
色 10種
素 材 経糸:木綿、ウール 緯糸:木綿、ウール
混 率 木綿59% ウール41%
幅 140cm
組 織 変化平織
特 長
木綿、ウールとも太い番手の糸を用い、ふっくらした地厚な質感を求めたものです。
ウールの存在を湿り気があるように見せられないか、自由な動きで均一ではない、自然界のルールを表現したいと思ったものです。
ベース色の他に3色、藍、紫、カラシを日本の色として加えました。
藍はJapan Blueとも言われ、青との区別がない国もある程ですが、日本では各地に紺屋町という名が残る程、親しまれた色です。紫とカラシ色は、昔から高貴な色とされ、憧れの色です。特にカラシ色は、黄櫨染(こうろぜん)と呼ばれた天皇以外禁色であるオレンジ味の黄色からイメージしました。
藍、紫、カラシは、経糸、緯糸ともにウールと木綿の色を違う色にしています。例えば、藍色のウールに黒の木綿を配し、色としてはウールの藍色が主に見えていますが、背後に黒が存在するといった感じです。他の色は、Ⅰと同様に経糸の木綿は2色使いで、玉虫効果も同じです。
無地ライクな生地の中で、黒ツイードは、あえて黒地に薄いグレイが点在するようなデザインにして、ツイード感を付加したものです。
MIKAGE 御影
品 番 KO030104
色 6種
素 材 経糸:木綿 緯糸:木綿、ウール
混 率 木綿76% ウール24%
幅 140cm
組 織 綾織
特 長
木綿糸の割合を多くするために、ウールは緯糸のみの使用です。この生地のイメージのルーツは、小倉織の霜降。
杢糸と言われる、2色の色を撚り合わせた糸を作ることから始めました。2色ではありますが、割合を1:2にして、バランスを微妙にこわしています。木綿もウールもこの杢糸を用いているので、チラチラとする動きが均一でなく、自由度を上げてくれます。
生地としては、3種の中で一番安定感があり、密度の高い織物となっています。高密度だと質感が硬い印象になりがちですが、杢糸だからこそ、柔らかな印象に導いてくれます。
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